ヘムが行った株主提案
皆さんは株主提案のやり方をご存じですか?小人のヘムは以前、株主提案を行ったことがあります。配当政策に「DOE(株主資本配当率)〇〇%以上」を導入するという提案です。会社側が、その「DOE〇〇%」を大幅に上回る増配を発表したので株主提案は取り下げたのですが、株主提案自体は行ったのでその時に勉強した個人投資家の株主提案のやり方を記事にしますね。
株主提案って知ってますか?
少数株主権とは
株主には、持ち株数によって一定の権利が与えられます。少数株主権とは、そんなにたくさん株を持っていなくても与えられる権利の事です。有名な少数株主権は「株主提案権」、「取締役・監査役の解任を求める権利」、「帳簿閲覧権」、「株主総会招集請求権」等です。少数といっても、総株主の議決権の3%以上とか、1%以上とかですので、かなりの株数になります。主な少数株主権を行使するのに必要な株数を以下に整理します。
- 株主提案権 : 総株主の議決権の100分の1以上または300個以上
- 取締役・監査役の解任を求める権利 : 総株主の議決権の100分の3以上
- 帳簿閲覧権 : 総株主の議決権の100分の3以上
- 株主総会招集請求権 : 総株主の議決権の100分の3以上
株主提案の条件
- 株主提案権 : 総株主の議決権の100分の1以上または300個以上
株主提案には上記以外に、6ヵ月の継続保有が必要となります。株主提案を行うために直前にまとめて株を買い占めてもだめですよっていうルールがあるのです。それでは、具体例をあげてみます。例えば、以下のような会社があるとします。
- 株価 1,000円(100株単位)
- 総発行株式数 5,000,000株(500万株)(すべて議決権あり)
- 時価総額 50億円
株主提案を行うためには①総株主の議決権の100分の1以上 または ②300個以上の株数が必要です。①の場合、500万株の1%で5万株が必要です。②の場合は100株単位のため3万株が必要です。①か②のどちらかを満たせばよいのでこの場合は3万株あれば株主提案が可能です。株価が1,000円ですので、3000万円分の株を買えば株主提案が可能です。
案外、少ない金額で株主提案が可能ですよね。この議決権300個以上というのが、総議決権の1%と比較して容易に条件を満たせるケースが多い為、株主提案の乱用を生んでいるとも言われています。例えば証券最大手の「野村ホールディングス」の場合、時価総額は1兆7千億円ですので総議決権の1%以上となると170億円が必要です。一方、議決権300個以上の場合、今の株価の543円であれば1,600万円程度で条件を満たすことになります。野村證券は以前に変わった株主提案がなされた事で有名ですよね。興味がある方は「野村證券・株主提案」で検索してもらえればたくさん出てきますよ。多くの風変わり?な提案がなされたのですが、いくつか例をあげると「社名を野菜ホールディングに変更する」や「社内のトイレを全て和式にかえて足腰を鍛えろ」といった内容が含まれていました。
株主提案は議決権300個以上の方であれば、数千万円で可能な銘柄がたくさんあります。
株主提案のやり方
- 「総株主の議決権の100分の1以上または300個以上」を株主提案を行う6ヵ月前から持ち続ける
- 個別株主通知申出書を証券会社から取り寄せる
- 個別株主通知申出書を証券会社に送る
- 証券会社から個別株主通知申し出受付票が送られてくる
- 株主提案書を作成する
- 株主提案を書留で「株主提案を行う先A社」に送付する
- 「株主提案を行うA社」のIR担当者に電話をして株主提案を受け取ったか確認する
ざっと、こんな感じです。まず、「2.個別株主通知申出書を証券会社から取り寄せる」ですが、これは証券会社に電話をして取り寄せる必要があります。私はマネックス証券で行ってます。マネックス証券では無料ですが、楽天証券では有料(3,300円)でした。
その前に、個別株主通知って何?ですよね。簡単に言うと、証券会社を通じて証券保管振替機構(ほふり)に、私ヘムがA社の株を何株持っているかっていう事を、A社に伝えてもらうっていう作業です。これを行うと、証券保管振替機構がA社にヘムさんはA社の株を〇〇株持ってますよっていう連絡がいくわけです。A社にすると、「げっ、個別株主通知が来てしまった・・・という事はこの人少数株主権を行使するんだ」って思うわけです。
その次は、株主提案書の書き方ですね。これは「株主提案書の書き方」で検索すると雛形が幾つか出てきます。また、今までに出された株主提案書が数多くあるのでその真似をしても良いかなと思います。ヘムの場合はこんな感じ書きました。
私は株式会社〇〇〇(以下「当社」と言います)の発行株式総数の1%以上を6ヵ月以上に渡り継続所有する株主です。私は、当社に対し、令和〇年6月開催予定の当社株主総会において、下記1の事項を株主総会の議案とし、かつ、株主総会招集通知に記載する事を請求します。
= 株主提案内容 =
1.提案する議題の内容
ここに具体的な提案内容を書きます。例えば、配当を〇〇円にするとか。以下のようなイメージです。
〇〇〇〇年3月期の期末剰余金の配当として、普通株式1株当たり10円(前年度より2円増額)を配当する。
2.提案の理由
1の提案の理由を書きます。なんでも良いのですが、増配を求める場合は、年々現金及び同等物が積み上がっており配当原資も十分ある事、差し迫って資金需要がない事とかでしょうか。
株主提案のスケジュール
では、最後に株主提案を行う場合のスケジュールです。3月末決算の場合ですが、まず株主提案は証券保管振替機構(ほふり)が発行会社へ株主の情報を通知した後、通知日から4週間以内に発行会社に対して行使する必要があります。その点を考慮すると、大まかに以下のようなスケジュール感になります。
- 「総株主の議決権の100分の1以上または300個以上」を株主提案を行う6ヵ月前から持ち続ける
- 3月初旬 個別株主通知申出書を証券会社から取り寄せる
- 3月中旬 個別株主通知申出書を証券会社に送る
- 3月下旬 証券会社から個別株主通知申し出受付票が送られてくる
- 株主提案書を作成する
- 4月初旬 株主提案を書留で「株主提案を行う先A社」に送付する
- 「株主提案を行うA社」のIR担当者に電話をして株主提案を受け取ったか確認する
株主提案や、帳簿閲覧権、株主総会招集請求権は株主の権利です。総議決権の1%や議決数300個以上を満たすには、数千万円以上が必要なケースが多いと思われます。個人投資家がそこまで株数を集めてやっと手にする事が出来る権利です。
大株主(3%以上・5%以上)
議決権の3%以上を保有すると、「帳簿閲覧権」「株主総会招集請求権」「取締役・監査役の解任を求める権利」を手にすることが出来ます。
ただ上場企業の3%以上の株式を保有する「大口株主」については、配当金の税制上の優遇が無くなってしまいます。
源泉徴収ではなく総合課税で課税されてしまうのです。上場企業の3%以上の株式を保有するような人は、収入も多いので税率が一気に跳ね上がってしまうんですね。
だから、大株主名簿で保有割合が2.99%になっている大株主さんが多いんですね。
続いて、上場企業の発行済み株式数の5%超を保有する株主(大量保有者)は、原則として5%超を保有することになった日から5日以内に、内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出する義務があります。また、大量保有者には保有割合が1%以上増減した場合に「変更報告書」の提出義務が生じます。
ヘムも5%以上の株式を保有したことがないので、具体的に報告書を書いたことがありません。でも、かなり億劫ですよね。3%ルール同様、この5%ルールのために大株主名簿で保有割合が4.99%になっている大株主さんが多くなっています。
今日は、少数株主権と大株主さんのメリット(少数株主権を得られる)、デメリット(3%ルール、5%ルール)でした。
現在ヘムが運用しているポートフォリオには
- ヘムの「優待株ポートフォリオ」 全49銘柄 割安な優待株で構成!
- ヘムの「DOE採用株ポートフォリオ」 全39銘柄 配当政策にDOEを採用の割安株で構成!
- ヘムの「不人気株ポートフォリオ」 全33銘柄 究極の逆張り投資!(通称嫌われ者ファンド)
- ヘムの「インデックス投信積み立てファンド」 e-Maxis中心にインデックスファンドを積立て
- ヘムの「7資産分散海外ETFファンド」 バンガード中心に海外ETFを分散投資
- ヘムの「全投資 ポートフォリオ」 ヘムのすべての投資資産の全体の運用成績
があります。そのポートフォリオに実際に投資して、売買手数料や配当や税金をすべて含めた成績を長期に渡って公表していきます。2022年の秋頃には「不動産安定収入株ポートフォリオ」も運用開始予定です。
ヘムからのお願いです。ヘムはにほんブログ村に参加しています。少しでも皆さんに役に立つような投資情報を提供できるように心がけています。ヘムのブログを少しでも多くの皆さんに見て頂けるよう「いいね」のお気持ちで下のプロフィールバナーを応援クリックをお願いします
コメント